暑気払い
暑さを打ち払うには、今が旬の鱧。丁寧に骨切りされた真っ白な身は、淡白なようでいて濃厚。この日は大将のご厚意で鱧すしをいただいたのだが、ホロホロとした柔らかい身が甘辛いタレと交わって、何とも言えぬ美味しさ。さっぱりした上品な味わいに、箸が止まらなかった。
鱧のコースを楽しみにしているお得意様は毎年後を絶たないのだが、先日は京都のお客様の接待にも供されたらしい。鱧と言えば、京都・祇園の夏の名物。さぞかし舌が肥えているだろうと気がかりだったが、「まさか九州でこんなに美味しい鱧料理がいただけるとは」と称賛され、女将も安堵したのだとか。鱧を愛する京男をも唸らせた味を堪能できるのは8月末まで。ずば抜けて強い生命力を持ち、疲労回復にも一役買う夏の味覚を、ぜひ暑気払いにどうぞ。
ところで先日、毎年恒例の”七夕ジャズライブ“が催された。今年はセネガル出身のミュージシャンも加わり、リズミカルな太鼓と思わず踊り出したくなるようなアフリカ音楽で大層盛り上がったそうだ。いつもとは一味違う、一夜限りのライブ。大将にとってこの夏の宴は、何にも代えがたい暑気払い。皆様から元気をいただき、来年までの活力を蓄えるのだそう。
『たはら』の料理を通して、夏を美味しく元気に乗り切ることができますように…
酷暑の折から、皆様のご無事息災を心より祈念しております。