旬の素材を活かすひと手間で
たはらでは8月も驚きと感動を抱いていただける、真心のこもったお料理を準備しています。お料理の随所に遊び心が隠されていますので、夏の楽しいひと時を過ごしていただければこの上ない喜びです。
●短冊に思いを込めて
「風鈴鳴らぬ淋 鳴うれし」。風鈴が鳴れば嬉しい、鳴らなければ淋しい。そんな当然の思いを短冊につづったのは、お客様の「心」にこだわる大将ならでは。たはらの空間、お料理、おもてなしを通じて、純粋に「嬉しい」と感じていただきたい。お客様の喜ぶ姿を思い浮かべながら、今日も包丁を握る。
本日いただいたのは、七夕をテーマにした和懐石。繊細な味つけはもちろん、視覚でも楽しませてくれた。竹籠をはずして目に飛び込んできたのは、かぼすの皮とジュレをスイカに見立てた一品。赤ワインで色味を表現したスイカには、さりげない気づかいが隠されていた。かぼすの苦みがジュレに移らないように、境目には蒸したフォアグラが塗られているのだそう。そのきめ細やかなひと手間は、見た目や味わいでは全く気づけない。たはらを訪れると、いつも驚きと感動の連続だ。
驚きと言えば、今が旬の「鮎の塩焼き」。鮎が登場するや否や、思わず歓声をあげてしまった。笹の上に添えられた八女産の鮎からは、勢いよく煙が立ち昇っている。お皿にただ盛りつけられた鮎とは違う圧倒的な迫力と躍動感を、この夏はお客様ご自身で体感してほしい。
たはらのお料理には、全て思いを込めたテーマがある。味覚や視覚だけでなく、「心でお料理を楽しんでいただきたい」。それが、たはらの願い。8月は、どんなテーマで驚きと感動を味わっていただこうか。夏の食材を前に、夢は膨らむ一方。「花火大会」をイメージした鮮やかな和懐石、夏の暑さで疲れたお客様には「ほたる」をテーマにした安らぎの一品など。どうぞ今月も存分に期待していただき、たはらで夏のひと時をお愉しみください。